昨日、兵庫県立有馬高校に行きました。
県からの依頼を受け、高校の先生方に対して
アドバイスをすることになりました。
多くの先生方が集まってくださいました。
アドバイスといっても
生徒指導のプロの方々に対して
私のような若輩者がどうのこうのと
偉そうなことを言える筈もありません。
ですから、2点だけ 私が経験した素敵な出会い
そして、その方に教えてもらったことを話しました。
今日のコラムではその一つを書きますね。
『みんなで勝つ』というお話です。
将来塾のテーマは『みんなで勝つ』。
このテーマの大きなきっかけになったお話です。
中学2年の時の担任、山岡先生のお話です。
山岡先生はとてもユニークな先生で
阪神が勝った次の日はとても機嫌が良くて
負けた日の翌日はとても機嫌の悪い人でした。
それが、私たちは堪らなく楽しかったんですが・・・。
この山岡先生がまたハチャメチャに
面白かったんです。
先生らしくない先生で
そして、教育のプロだったからです。
私がいた2年12組はいつもテストの成績が
学年(12クラス中)で断トツでした。
それも全教科です。
12クラス対抗でクラス平均点を競い合いました。
全教科とも中間・期末など
順位が1番から12番まできっちりと出ました。
2年12組は2位のクラスに10点以上は引き離し
20点以上も引き離すことも何度もありました。
なぜ こんなことになったのでしょうか?
別に特別優秀な生徒が集まっていたのではありません。
どちらかというと
私のような劣等性の多いクラスだったと記憶しています。
テスト一週間前、
テスト範囲が言い渡されると
山岡先生は
「誰か テストつくってくれや?
理科は誰がする? あー 黒田 お前つくれ!
社会は勝山、頼むわ。
数学は安藤やな。これは決まりみたいなもんや」
そうなんです。
テスト前に、
クラスでその科目の一番優秀な生徒が
テストをつくるんです。
そして、先生が輪転機でそれを焼いて
(輪転機とはコピー機みたいなものです)
みんなに、手渡してくれるんです。
その日はみんな
家に帰ってから
そのテストだけはします。
そして次の日の放課後、
そのテストをつくってくれた
生徒が解説をしてくれます。
クラスのみんなは
「ここまで、かっちゃん(勝山君)が頑張ってくれて いるんやから、
僕も頑張ろう」っていう雰囲気になります。
いつも『みんなで勝つ』と空気に包まれていました。
はじめは成績優秀者だけが
テストをつくるのですが
ある時期から、
みんなに順番が回ってくるようになりました。
そして、気がつけばクラス全体のレベルは
信じられないほど上がっていました。
つくる側・教える側は、
テストを受ける人の何倍も勉強をするし
またテスト問題をつくることによって
先生の気持ち・出題者の気持ち・相手の気持ち
なんていうものを少しはわかってきます。
テスト担当者は各教科一人ですが
何人かがそのサポートに当然のように入ります。
電話で教え合ったり、
先生の志向やテストの傾向を考えたり、
「どの問題の重要度が高いか?」などを
数人で予想したりします。
そんなことまで山岡先生は指示していません。
それでも、たった1日・2日で
テストが出来上がってきます。
素晴らしい光景です。
何人かで知恵を出し合ったテストの完成度は
実に高いものでした。
そして、当たり前のように実力もつきます。
みんなその時点で学ぶことや知恵を出し合うことが
好きになりますからね。
実力がついた証拠に
テスト範囲がない実力テストでさえも
全教科1位でした。
山岡先生は
「おー また1番や 断トツや
国語は15点差 社会は12点差
数学は21点や おーすごい!!!」と
いつも大声で大笑いしながら
太鼓腹を叩いていました。
山岡先生はこれをすることによって
クラスがどうなるか
そして、生徒の未来がどう変化するか
全て、お見通しでした。
テストの点数など
本当はどうでもよかったんです。
きっと。
『みんなで勝つ』
中学生の時に、この学びを得たことに
とても感謝しています。
山岡先生 本当にありがとうございます。
将来塾のテーマ『みんなで勝つ』は
もうこの時に決まっていたようなものでした。